新型737系の導入で電化区間にやっと「電車」が走る!?

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JR北海道は、2022年8月17日に「737系通勤型交流電車が登場します」のプレスリリースを通じて、室蘭ー苫小牧間に新製する737系交流電車を投入することを発表した。こ737系の新設と導入はこれまで同区間の運送を担っており、すでに老朽化が激しい143系気動車を置き換えることが主な目的である。

今回は、新型の737系の紹介はほどほどに、(後日ゆっくりとみていきたいと思う。)これまで室蘭本線で活躍してきた143系気動車の歴史とともに、同区間の実態についても見ていきたいと思う。

新型の737系とは

737系について詳しく見ていこう。アルミ合金製の737系の最高速度は120km/hで、ワンマン運転対応の列車となる。

737系新型気動車の外観(写真:JR北海道)
737系新型気動車の外観(写真:JR北海道)

車体前面は黒をベースに、蛍光色の緑と黄をまとっており、JR東日本らしいデザインとなっている。

また737系は2両編成が1ユニットとして構成されており、最大で6両まで併設が可能な使用となっている。

このことから、室蘭本線の老朽化した143系の置き換えだけでなく、将来的には旭川近郊区間などの電化化された区間での運行(ワンマン運転に対応しているため)も考えられる。

737系新型気動車の外観(写真:JR北海道)
737系新型気動車の車内イメージ(写真:JR北海道)

車内はというと、約19㎝低床化された、ノンステップ仕様で、内装もこれまでの731系・733系・735系と変わらない。

737系新型気動車の外観(写真:JR北海道)
737系新型気動車の外観(写真:JR北海道)

座席は全席ロングシートとなっており、143系で見られたボックス席などは廃止となった。朝や夕方など多くの学生が利用する時間帯では143系の2両体制では多くの立客が発生していたことを考えると、苫小牧ー東室蘭間での運輸実態に即した座席レイアウトであるといえるだろう。

737系新型気動車の外観(写真:JR北海道)
737系新型気動車の外観(写真:JR北海道)

一方で懸念されるのが座席の硬さ、乗り心地である。長時間の乗車時間が大きな特徴であるJR北海道にとって、客室の快適とりわけ座席の座り心地のよさは極めて重要である。

737系新型気動車のレイアウト(写真:JR北海道)
737系新型気動車のレイアウト(写真:JR北海道)

737系は苫小牧ー東室蘭を走行するH100系の一部を置き換えるとの発表もあることから、H100系の悪名高い硬質なシートのような座り心地ではあってほしくないと切に願うばかりである。

参考までに下の画像は733系導入時のJR北海道のプレスリリースの写真である。

なんとなく、座席のイメージからするに、737系のシートも硬そうな気がしてくる…。

札幌圏の輸送力向上を担った近郊型列車

143系気動車の歴史は、1990年代まで遡ることとなる。当時、札幌市周辺の人口は伸び続けており、これに伴って札幌市近郊圏の輸送力向上が急務であった。そこで143系気動車は、特に宅地化・都市化の流れが激しかった札沼線(学園都市線)の輸送力問題を解決するために「登場」した列車である。

先ほどあえて「登場」という言葉を用いて、143系気動車を紹介したのであるが、これには深いわけがある。――143系気動車はもともと他の列車として使用されていたのだ。

実は143系気動車は、電車化や気動車化の影響で余剰となっていた50系客車を改造して制作された車両だったのである。

動力(エンジン)を持たない客車に動力をつけることは、構造上の違いから日本国内ではほとんど成功例はないが、もともと軽量であった50系客車に高出力型のエンジンを搭載したことが功を奏し、合計で44両が製作されることとなった。

とくに高出力エンジンの搭載は、豪雪地帯である札沼線を走るという143系の使命から考えると、近郊型列車として活躍するのに必要な条件であったと思われる。

通勤型電車の新設で、苫小牧ー東室蘭間の今後はどうなるのか