来年3月のJR北海道「春のダイヤ改正」で廃止検討の計7駅を大予想

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JR北海道は来年3月の「春のダイヤ改正」を前に、今月(2021年9月)に「来春のダイヤ見直しについて」という発表を行いました。

この発表の中で最もといっていいほど印象的だった点は、札幌と釧路を結ぶ特急おおぞら号に使用されていた283系気動車の261系置き換え完了についてでしたが、その一方で今年も例年通り「極端に利用の少ない駅」の廃止も実施される運びであることが判明しました。

そこで、当サイトでは来年3月のダイヤ改正で廃止されるであろう利用の少ない駅を考察していきたいと思います。

尚、当予想はJR北海道から発表された加工のデータや資料を基に予想したものであり、これによる一切の責任は負いかねますことをあらかじめ申し添えさせていただきます。

来年3月に廃止されるかもしれない駅とは

そもそも、JR北海道が廃止を予定している駅はどのようなものなのでしょうか。もっというと、JR北海道が廃止かどうかを決める「基準」はどのように設定されているのでしょうか。

実はこれを規定する「基準」が実は大きく分けて2つあるのですが、JR北海道が実際に駅や路線を廃止にする基準と、法律に基づいた国の指針が異なっているのが現状です。

詳しくは別の記事で詳しく解説をしていこうと思うのですが、簡単にまとめるとJR北海道が公表している赤字線区のなかでも特に「極端に」利用が少ない駅で、自治体からの支援(金銭的支援)を得れないものとまとめることができると思います。

そのため基準が少し不明瞭であり、自治体との交渉やその進捗次第では廃止にならないといったケースも存在しています。

しかしこれにはJR北海道の厳しい経営状況が関係しており、国の基準を一律に適用してしまうとほとんどの線区を配線、バス転換する必要が出てくるため、このような弾力的な運用基準を用いているのだと考えることができます。

来年3月に廃止される駅とは

そのような中で、来る2022年3月の「春のダイヤ改正」で廃止になる駅はどれになるのでしょうか。

JRの公式発表では、函館本線で5駅、宗谷本線で1駅、花咲線で1駅の合計7駅を廃止の方向で関係自治体と協議中と伝えられており、詳しい駅名は公表されていません。

JR北海道は「実際のご利用状況を踏まえて、極端に利用が少ない駅の廃止を行う」と公表しているため、同じくJR北海道が公式に発表している「駅別乗車人員」の資料を見てみたいと思います。

JR北海道「駅別乗車人員」
JR北海道「駅別乗車人員」(公式HPより)

これは平成27年から令和1年の5年間の間で実際に乗車された旅客の人数の平均を駅ごとに記した資料で、乗車人員の1日の平均が1名以下なら赤色、3名以下なら濃黄色、10名以下なら緑色、10名以上なら白色でそれぞれの駅名が表記されています。

つまりこの資料を見ることで大まかなJR北海道の利用状況を知ることができ、「極端に利用の少ない駅」についても知ることができるのです。

今回の区分けだと駅名が赤もしくは濃い黄色で表記されている駅が「極端に利用の少ない駅」といえ、それらの駅が次回のダイヤ改正で廃止対象となっている駅である可能性が高いのではないでしょうか。

もっと絞り込みたい

ざっと見ると宗谷本線を中心に「赤色」が目立つ結果となっており、次回廃止になりそうな具体的な駅名を見つけるのはなかなか困難に見えるのですが、実はさらにもっと絞り込むことができるのです。

こちらの資料は令和元年までのデータとなっており、2021年3月のダイヤ改正以前で廃止となった駅も含んでいるため、それらの駅を除外することでさらに絞り込むことができます。

そのようにしてこちらの資料を見ていると、花咲線では赤表記(つまり一日平均乗車人数が1人以下)の駅はたったの1駅のみとなり、絞り込みに成功。

JR北海道「駅別乗車人員」を参考に一部筆者にて編集した花咲線の廃駅予想
JR北海道「駅別乗車人員」を参考に一部筆者にて編集

花咲線の廃止検討駅は糸魚沢駅とみてよさそうです。

JR北海道「駅別乗車人員」を参考に一部筆者にて編集した宗谷本線の廃駅予想
JR北海道「駅別乗車人員」を参考に一部筆者にて編集

また宗谷本線については、今年8月に歌内駅が今年度限りで廃止されることがすでに判明しています。

歌内駅は昨年のダイヤ改正でJRから中川町に移管されたのだが、利用者のタクシー代替の目途が付いたため廃止の意向をJR側に伝えたとのこと。

管理開始から1年でスピード廃止となってしまいました。

協議が難航中か。絞り込み困難の函館本線

残るは5駅で、いずれも函館本線からという事になっています。しかし、先述の2駅は意外とすんなりと判明した一方で、函館本線の「廃駅候補」の絞り込みは難しいのです。

以下が函館本線(南側)の資料です。

JR北海道「駅別乗車人員」を参考に一部筆者にて編集した函館本線の廃駅予想
JR北海道「駅別乗車人員」を参考に一部筆者にて編集

函館本線は函館ー長万部間、長万部ー倶知安、倶知安ー小樽、小樽ー旭川間からなる区間で、全盛期は多くの利用者や貨物を輸送してきた北海道の大動脈であった路線ですが、距離的には遠回りになるものの、線形と地盤に恵まれた千歳線の開業によって札幌ー函館間の輸送が従来の小樽・倶知安経由(いわゆる「山ルート」「山線」)から室蘭経由(いわゆる「海ルート」)にシフトしまったために、とりわけ倶知安ー長万部までの区間の需要低下に悩まされています。

また北海道新幹線の山ルートを用いた札幌延伸によって多くの区間が平行在来線となることが予想される函館本線という事もあり、とりわけ貨物輸送需要のない長万部ー俱知安の廃止・バス転換を進めたい思惑のJR北海道。

これらを総合的に勘案した結果、延伸される北海道新幹線の停車駅が設定される長万部に近い黄色表記の駅2駅である「二股駅」と「中ノ沢駅」を予想しました。

長万部駅は在来線との乗り換えが可能となる駅として開業されるとのことから、これらの駅の廃止交渉は難航することは想像に難くありませんが、過去の廃駅の傾向を見ても比較的乗車人数のある駅に隣接する形の「極端に利用の少ない駅」は廃止される傾向であったことなどを考えると、これらの駅が廃止になる可能性は一定程度あるのではないかと考えています。

比羅夫駅も上記に実は当てはまるのだが、宿泊施設やテナントが駅に入居しているため、JR側の負担が少ないと判断し予想から外しました。

残る3駅についてははいずれも渡島砂原線から「銚子口」「流山温泉」「池田園」の予想としました。

渡島砂原線は線路の状態が非常に悪く、徐行運転を行っていることの他に、北海道新幹線延伸後の貨物需要を見越せない線区のため、並行在来線・第3セクター化しても維持は厳しい線区だといえることが判断理由です。

最後に

今回は、JR北海道が公表する様々な資料を基に来年3月のダイヤ改正で廃止が検討されている駅をピックアップ・大予想してみました。

実際にはこれから関係自治体との交渉や協議が行われ、廃止の意向が正式に受理されない限り突然の廃止することは困難である。そのため難航が予想される交渉の結果次第では今回予想した駅の廃止が行われないことの他、公表していた廃駅を検討する数自体の減少が起こる可能性も高いのではないかと見ています。

地域交通の担い手であるJR北海道のこれからについて引き続き注目していきたいと思います。。