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国鉄再建法と輸送密度から見る、JR北海道の廃線、廃駅の基準とは

国鉄が解体され、JR各社へと民営化となる時点で苦しい経営が予想されていたJR北海道。その予想は見事に的中し、JR北海道は雪や大雨といった厳しい自然状況と、全道を張り巡らそうと建設が進んでいる高速道路などを筆頭とするモータリゼーションの進行などの要因によって、旅客輸送の需要減少に悩まされています。

そんななか、補助金をゆすりの種に、支給してほしいJR北海道は国から経営改善を強く迫られている結果、「極端に利用の少ない駅」の廃止を毎年のように実施をしています。

これらの駅は年間を通して100万円程度の維持費が必要とするJR北海道は、単純な掛け算の様に毎年春のダイヤ改正の時期に合わせて数駅の廃止を検討し、関係自治体との協議を進めているのが現状です。

ところで、地域交通の担い手であるJR北海道が不採算路線や駅の廃止を行う基準というものをご存知でしょうか。実は、JR北海道独自の基準と国の基準の両方がこれに関係しているのですが、今回はその両者について少し解説をしていきたいと思います。

国の基準とは一体何なのか

それではまず、国が定める廃線・駅の廃止の基準を見ていきたいと思います。

以下はJR北海道のHP上で公開されている資料です。

JR北海道HPより、「国鉄再建法」によるバス転換基準についての資料
JR北海道HPより「国鉄再建法に基づくバス転換基準について」

これによると昭和55年施行された国鉄再建法(日本国有鉄道経営再建促進特別促進法)によって輸送密度が4000人未満である地方交通線の線区は、「特定地号交通線」に指定されています。

そして、この特定地方交通線はバスによる輸送を行うことが適当であるとされ、廃止対象となっています。

そもそも輸送密度って何?

ここで「輸送密度」という言葉が出てきたので、合わせて解説しておきたいと思います。

「輸送密度」とは、対象の線区をどれだけの旅客が利用したかという需要を知ることができるデータです。つまり、ある路線の始点から終点までを通しで利用したお客さんの平均の数を指し示しています。

しかし、実際には線区すべてを通しで利用されることは稀であり、駅間ごとの利用実態は差が出ることが一般的です。そのため、すべての旅客が起点から終点までを利用したと仮定した場合の1日1kmあたりの平均をとった値が、「輸送密度」です。

JR北海道がHP上で公開している資料でもわかりやすくまとめられています。

JR北海道HPより「輸送密度」について
JR北海道HPより「輸送密度」について

それでは、先程ふれた輸送密度はJR北海道ではどのようになっているのでしょうか。

こちらもJR北海道が儲からない路線積極的に廃止しようと積極的に情報公開しているページ地域交通を持続的に維持するためにで公開されている地方交通線の輸送密度のデータを見ていきたいと思います。

公開されている資料は全13ページからなるのですが、ここではその一部を紹介していきます。

上記の資料は、花咲線と呼ばれる釧路ー根室間の輸送密度の推移です。資料真ん中に引かれている青い線は、国が示している路線の廃止及びバス転換のボーダーとなっており、すべての年度で国鉄再建法の基準を下回っていることがわかります。

このような現象はこの線区だけではありません。

JR北海道の多くの地方交通線は、下の資料のようにほとんど全ての路線で昭和50年から需要が低下基調であることが見て取れます。

このような状況のなかで国鉄再建法の基準を適用し、路線のバス転換を実施するとJR北海道の多くの地方交通線はバスでの運行となってしまいます。

JR北海道独自基準とは

以上の理由から、JR北海道においては国鉄再建法のバス転換基準をそのまま適用することが困難であるために、JR北海道が独自に定めている基準があります。

JR北海道が廃線や廃駅を行う場合に必ず使用されるのは「極端に利用の少ない駅」という表現です。

ここでいう「極端に」とは1日平均の利用者数が3人以下程度の駅などを指しています。

このような基準を運用して、JR北海道は地域交通の担い手としての役目を果たしているのです。

最後に

今回はJR北海道が公開している様々な資料などを通じて、JR北海道の地方交通線の廃線の基準について見ていきました。

総じて、これは一個人の意見ではありますが、JR北海道のほとんどの路線が廃止になってもおかしくはないという状況の中、地域の輸送需要を守っているJR北海道の経営努力は評価されるべきだと思います。

「駅を何駅廃止にすると○○円」というような削減による見かけ上の収支改善を果たすことを求めている北海道や国は、JR北海道に対してこれ以上の経営努力をもとめることは難しいのではとも思っています。

責任ある地方の輸送需要を担う基幹企業として北海道や国は積極的な支援を実施して欲しいと思うと共に、ユーザーである私たちも当事者として積極的なJRの利用などJR北海道の経営に貢献していく必要があるのではないでしょうか。

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