前回は基本的なJRの運賃の求め方を学習しました。今回は、異なる路線や会社にまたがって乗車した場合の運賃を求める方法を学習していきます。
前回の記事はこちらからどうぞ
路線の種類
まず、路線には「幹線」と「地方交通線」の2つの種類があります。
そしてこの「幹線」と「地方交通線」は別々に距離を測定して運賃を割り出します。
「幹線」と「地方交通線」で使用するキロ数は以下のように呼ばれています。
Point!
地方交通線の運賃は換算キロ、擬制キロを使用して計算される。
換算キロ、擬制キロは営業キロの1.1倍のキロ数になっている。
ちなみに換算キロは営業キロの1.1倍のキロ数になっています。
「幹線」と「地方交通線」をまたがって乗車する場合
「幹線」と「地方交通線」をまたがって乗車した場合は、「幹線」と「地方交通線」のキロ数を足して、運賃表と照らし合わせます。
「幹線」の「営業キロ」と「地方交通線」の「換算キロ」を合計したキロ数を「運賃計算キロ」といいます。
その「運賃計算キロ」をA表に照らし合わせます。
例1 松本から身延ゆきの運賃(篠ノ井線・中央線・身延線経由)
松本‐甲府間の営業キロが「101.3km」、甲府‐身延間の換算キロが「49.4km」であるから、通算して松本‐身延間の運賃計算キロは「150.7km」となり、「本州3社幹線の運賃表(A-1表)」の「141km~160km」に該当するので、運賃は2640円となる。
例2 新山口から由布院ゆきの運賃(山陽線・鹿児島線・日豊線・久大線経由)
新山口‐小倉間の営業キロが「80.7km」、小倉‐大分間の営業キロが「132.9km」、大分‐由布院間は地方交通線であるから擬制キロが適用されて「46.7km」、これらを通算して新山口‐由布院間の運賃計算キロは「260.3km」となり、
「本州3社幹線の運賃表(A-1表)」の「261km~280km」に該当するので、運賃の基準額は4840円となる。さらにJR九州内だけの運賃計算キロは「179.6km」であるから、「JR九州にまたがって乗車の場合の幹線の加算額表(A-2表)」の「121km~180km」に該当するので、加算額は220円となる。したがって、新山口‐由布院間の運賃は5060円となる。
注2 JR西日本からJR九州にまたがって乗車する場合、JR九州内だけの運賃計算キロに基づいて加算額が決められているので、運賃の基準額に加算額を加えなければなりません。同様にJR西日本からJR四国に、JR東日本からJR北海道にまたがって乗車する場合も加算額が加えられた運賃となります。
例題で確認
「岡山から熊本ゆき」の運賃を計算しなさい。ただし、経由線区は山陽線、鹿児島線とする。
岡山‐門司間の運賃計算キロが「373.7km」、門司‐熊本間の営業キロが「191.1km」であるから岡山‐熊本間の運賃計算キロは「564.8km」となり、「本州3社幹線の運賃表(A-1表)」の「561km~580km」に該当するので、運賃の基準額は9130円となる。さらにJR九州内だけの営業キロは「191.1km」であるから、「JR九州にまたがって乗車の場合の幹線の加算額表(A-2表)」の「181km~200km」に該当するので、加算額は330円となる。したがって、岡山‐熊本間の運賃は9460円となる。
なお、この運賃は岡山‐熊本間を普通列車に乗車する場合のもので、新幹線を利用する時はJR九州内だけの営業キロは「118.4km」(博多‐熊本間の営業キロ)となり、「加算額表(A-2表)」の「101km~120km」に該当するので、加算額は190円となる。したがって、岡山‐熊本間を新幹線で行く時の運賃は9320円となる。
岡山‐博多間の山陽新幹線はJR西日本によって運転されている。
答 運賃9,320円
次回
次回は大都市圏発着の乗車券の運賃を計算する方法を学習していきます。