3月12日のJR北海道のダイヤ改正の目玉、H100系(通称DECMO)の全線投入に際してキハ150系の山線の活躍は見納めとなる。そこでキハ150系の今までの活躍をまとめるとともにこれからの展望も考えていきたい。
キハ150系の歴史と特徴
今度の3月のダイヤ改正でキハ150系は新しく製造され、老朽化したキハ40系なども淘汰するであろうH100系に山線の座を譲ることとなったが、実はキハ150系は老朽化した車両やコストパフォーマンスの悪いキハ40系を置き換えるために作られた車両だったのは知っているだろうか。
現在もなんだかんだ使われており、ローカル線の顔ともなっているキハ40系は単独で運転することができる車両だが、北海道の雪を甘く見てはいけない。出力が不足していて2両つなげないとまともに走れないのである。
現在も「列車」に人で埋まらず、300キロの速さで走れる路線を作っても、利用者などほとんどおらず、「牛」や「魚」を載せないといけないような区間が大半を占めるJR北海道にとって一両で運行するだけで赤字が発生する区間に、利用者の減る冬季に2両編成で運行することは財政的に厳しかったことは想像に難くないだろう。
- 赤字圧縮のため積雪した急こう配を含む地方路線を単独で走れるような高出力機関搭載
- 人件費削減のためのワンマン運転対応
- 建設費・維持費削減のためバス部品の
流用共通設計 - 冷房装置設置
が主な特徴である。
しかし一両での運行だと朝のラッシュ時はさすがにきついとおもったのか
- デッキを廃止、座席と扉との間に樹脂製の仕切りを設置
- 駅間が長く地方路線には適していないロングシートを一部採用
- 2+1のセミクロスシートという詰込み仕様
という側面も初めから兼ね備えた列車であった。
JR北海道としては初めての冷房装置搭載の車両であったが、その後に作成されたキハ150系100番台にはなんと非搭載。
「窓開けたら涼しいよね」ということで冷房装置を廃止したが、それだと国鉄と同じになるため「クールファン扇風機」を設置した。
しかしもともとの窓が固定式であったため仕様変更の際に窓の大きさは小さくなってしまった。
さらにこの車両はJR北海道の誇る「空気ばね圧制御式車体傾斜装置」の開発の際には試験車両として抜擢されたこともある
キハ150系の現在の運用と今後の展望
冷房設備搭載の基本番台17両のうち、10両は旭川運転所、7両は苗穂運転所に配置されている。
では問題の冷房非搭載番台キハ150系100番台はなんと苫小牧運転所所属になっている。
完璧に海風で暑さをやりすごそうとした感じが満載である。
今回のダイヤ改正で置き換わるのは苗穂運転所所属の基本番台7両である。
はたしてこの車両の再就職先はみつかるのであろうか。
おそらく、筆者は現在(2月25日現在)、根室・宗谷本線に移動すると考えている。根室本線などを走るキハ54系500番台が1986年に製作され老朽化が進行しているためである。またキハ40系淘汰の旅に出るために各地に散らばることも考えられる。
最期に
キハ150系気動車はユニークな歴史を持つJR北海道の気動車である。しかしダイヤ改正後には函館本線(山線)では運行されなくなり、見納め・乗り納めも近い。
ぜひこの機会に函館本線に乗車し「冷房」などを見て楽しんで欲しいと思う。