JR北海道が2021年の春のダイヤ改正を発表が行われ、大幅な変更が加えられることが想像されていましたが、その予想を大幅に超える変更が行われることになりました。
特急北斗の減車、DECMOの導入、駅舎の廃止など新たに実施される変更は多岐に及びますが、この記事ではJR北海道にとって一時的な視点でなく、長期的な視点で考えた時にプラスとなるという視点で今回のダイヤ改正を「評価できる」「評価できない」「理解可能」「理解不能」の4つのカテゴリーに分類して紹介していきたいと思います。
カテゴリー分けの基準
まず、「評価できる」「評価できない」「理解可能」「理解不能」のそれぞれの観点の評価基準を簡単に説明していきたいと思います。
大きな基準としては一つで「長期的な視点で考えた際に、その変更がJR北海道にとってプラスとなるのか否か」という指標で判断していきたいと思います。
その上で、その変更を指示できる場合には「評価できる」、全くもって支持や賛成できないものについては「評価できない」、経営状況などを総合的に考えて、賛成はしたくないがそのような結論になったことに一定の理解を示せる場合には「理解可能」を、さらに全くもって変更に賛成はできないし、そのような結論に帰着した理由も分からない場合には「理解不能」というカテゴリーを運用することとしました。
もちろん、筆者の主観での判断ですのであらかじめご承知おきください。
それでは一つひとつ見ていきましょう。
評価できる
北斗の指定席車両減車
特急北斗は現在通常7両、うち自由席2両で運行されているが、このうち指定席車両を2両減車させて5両編成での運行となります。
この変更によって「グリーン車」「指定席」が2両、「自由席」が2両となります。
新型コロナ以前では指定席でさえも多くの観光客でにぎわっていた北斗号でしたが、現在では繁忙期でも自由席に必ず座れるほどの混雑具合となっているので、指定席車両の減車は理解できるのではないでしょうか。
特に評価したい点としては、JR北海道は減車を行うときに「自由席車両」を減車にする傾向があったのですが、今回は余剰となっている指定席の減車を行うとしており、その点では評価できると思います。
おおぞら号の編成見直し
北斗号と同じく、札幌と帯広・釧路間を結ぶ特急おおぞら号も減車を行い、やはりこちらも5両編成となるようです。
これも指定席車両を減車したということは評価できるのではないでしょうか。
学園都市線(札沼線)の一部列車の運行区間の延長も評価できるのではないでしょうか。
今まで札幌~あいの里公園・石狩当別までの運行が行われていた一部列車の運転区間がその先の北海道医療大学まで延長されることになり、合計で11本北海道医療大学駅の発着本数が増加します。
北海道医療大学へ通学する学生が多く利用する列車であるので、アクセス改善を積極的に行い、利用客を長期的に増加させるような取り組みがJR北海道には求められている中、行うべき取り組みだったのではないかというように思います。
DECMOの苫小牧-室蘭への投入
今回の改正で多くの路線にDECMOが投入されることになりますが、その中でもこの区間のDECMOでの運行は比較的評価できるのではないでしょうか
DECMOというと「狭い」「固い」「座れない」の三拍子そろった車両で、おまけに駅とホームには高い段差があり、こ線橋が多く存在しているローカル線でも車いすを使用するお客さんが利用しやすいような大きな面積を有するバリアフリートイレがあり、さらに座れない車両となっております。
しかし、気動車などを増結して運行するよりは運行コストが削減できるほか、高出力エンジンも搭載しているので所要時間の短縮につながります。
特にこの苫小牧―東室蘭間は学生の通学需要も多く、混雑時には4人掛けシートも埋まっており、座れないことも多いので、3両や4両編成などでの運行が可能となるDECMOが運用に入るのはよいのではないかと思います。
1両での運行のみとなるようでしたら、まったく理解できない部類に分類しようと思います。
では次に評価はできないを見ていきましょう
評価できない
北斗の最終便の運転取りやめ
北斗23号・24号が運転取りやめになるのはまったくもって評価できません。特に函館を19時58分に発車する北斗23号は札幌に23時57分に到着する最終列車であり、比較的多くの乗客が乗っている列車となっています。
ただでさえ、高速道路に乗客を奪われつつある北斗号を利用する乗客は観光客、車を持っていない人、夜間に運転したくない人で翌日から行動したい人が大半を占める中、最終便の運転取りやめは北斗号利用のメリットをさらに減少させてしまうことにつながるからです。
最終便を失った乗客はおそらく高速バスに逃げるとみられるため、敵対する交通機関を応援をすることになるという点からしても全くもって賛同することはできません。
札幌圏の土日ダイヤの導入
札幌圏に土日祝日ダイヤを導入することも賛成することはやはりできません。
ドル箱とされている札幌近郊区間はさらなる列車の増発と所要時間の短縮によって、利便性を向上させ、輸送客の増加を行わなければならないであろう状況下に、それと真逆の施策を取ろうとしているからです。
土日の朝の時間帯の新千歳空港行の快速「エアポート」の運休は、飛行機を利用する人などにとって不便になるということが懸念されます。
筆者には自ら赤字の道を進みたくて進んでいるようにしか見えません。
理解可能
理解可能な変更点としては以下のような変更を上げたいと思います。
ちなみに、あくまでも理解可能のカテゴリーのため行いたくはないけれども、状況を考えればこの程度で収まるのであれば致し方ないのかなという部類です。
特急「カムイ」4本の土日・祝日のみ運転
札幌と旭川を結ぶ特急カムイ9号・28号・29号・42号は、土日・祝日のみの運転となります。しかし、札幌-旭川間には特急ライラックも含めて比較的短い間隔で結ばれているため、後続の特急で代替可能なダイヤとなりそうです。
土日・祝日のみの運転となり、年230日程度の運休となりますが、利便性に大きく影響する変更ではないのかなと思います。
国交省や北海道などに経営のための補助金の増額を求めるJR北海道にとって目先の経費削減は必要条件であるため、多少の経営努力をしていると見せなければならないという状況を考えてみれば、納得することができる内容なのではないかなというように思います。
「大雪1~4号」「サロベツ3号・4号」の閑散期の曜日運休
これも納得するほかないのかなという内容です。
閑散期に限定されていること、さらには曜日でも限定されていることなどからも、スケジュールを調整することで十分に対応することができる範囲内に収まっているのではないかなと考えます。
理解できない
今回の改正で全くもって理解できないというものは残念ながら見当たりませんでした。
最後に
それに近いダイヤの改悪改正は多く見受けられるものの、思考回路がわからないというものは少なかったように思います。
特に一時的にでも経費削減を求められているJR北海道にとっては、運休・駅の廃止などは必要であり、それと引き換えにその他路線の支援を獲得できるようになるという側面があるので、理解せざるを得ません。
憎むべきは国と北海道なので、致し方ないという印象です。