モカコーヒーという名前はだれしもが一度は聞いたことはあると思うが、「モカコーヒーってなんなの?」と聞かれたら説明できる人は少ないと思います。
今回はそんな有名な「モカコーヒー」の知れざる歴史や味を徹底解説し、説明できるだけでなく、うんちくまでも話せるようになりましょう。
はじめに
まず初めに、モカコーヒーについて深く解説していく前に、「コーヒー豆の名前がどのようにつけられていくのか」というコーヒー豆の名前の付け方の大原則を知ってほしいと思っています。
この大原則さえ知っておけば、「どの地方で」「どんな味がする」といったことが大まかに類推できるようになるからです。
その大原則というのは、「コーヒー豆は取れた場所の名前がつく」ということです。
もちろん例外もあるのですが、基本的には「取れた産地」で呼ばれることが非常に多いんです。
ブラジルで採れたコーヒー豆は「ブラジル」、ケニアで採れたコーヒー豆は「ケニア」というように呼びます。
これには理由があって、コーヒー豆というのはプランテーションで栽培される作物なので、一つの国に基本的には「2つ以上のコーヒー豆(品種)」が存在しないからなのです。
しかし近年ではコーヒー豆の需要増などの理由やスペシャリティコーヒーなどを楽しむ人が多くなってきたので、「作られた農園」や「輸出された港」の名前で呼ぶこともあるので注意です。
「モカ」ってどこ?
では「モカ」っていうのはどこにあるのでしょうか。
実は西アジアのイエメンの主都サナアの外港(輸出港)がモカというのです。
余談ですが、紅海を挟んで反対側にエチオピアという国があるのですが、そこの「カッファ地方」という場所が「コーヒー」の発祥地とされているのです。
そのため「Coffee」という英単語は「カッフィー」と発音するのです。
モカコーヒーの歴史
エチオピアに生えていたコーヒーの苗木を14世紀にアラビア半島にあるイエメンにもっていったのがアラブの商人たちで、その後ベネチアの商人によってモカ港から初めてコーヒーがヨーロッパに輸出されたのです。
ベネチア、ベニスは地中海にあるイタリアの都市で、地中海には反時計周りの潮の流れがあるので、ヨーロッパとアジアを結ぶ重要な水路として利用されていましたよ。
その当時、ほかにコーヒーを栽培して輸出していた地方はなかったため、コーヒー=モカという感じだったんです。
そしてアラブの商人たちが苗木をエチオピアからイエメンにもっていったせいで同じ品種のコーヒーが2国にあり、さらにどちらのコーヒー豆もモカ港に集積されて、輸出されたので、「モカコーヒー」といえば「エチオピア」と「イエメン」産のコーヒー豆を指すのです。
エチオピアとイエメン
エチオピア産のコーヒー豆は苦みが少なく、酸味とフルーティーな香り高いコーヒーで、長らく高価な豆として扱われています。
またスペシャリティーコーヒーの需要増にともなって生豆(コーヒーチェリーといいます)を従来の天日干しから水洗処理式に変更したので、さらに花のような香りと、かんきつ類のような風味をもった品種に生まれ変わったんです。
そのこともあってか、2020年はスペシャリティーコーヒーの国際品評会のカップ・オブ・エクセレンスを自国開催し、ブランドとコーヒー生産国としての地位を高め続けています。
一方、、、
イエメン産のコーヒーは豆の質が良くなく、欠けた豆も多いことから、いつの間にか廉価として認知されるようになっていったのです。
そのこともあってか、イエメンとエチオピアは同じ苗木から育ったのにもかかわらず、いつの日か「モカ・マタリ」と区別されることもあるのです。
味わいの特徴
モカは種類や産地、乾燥方法などによって少しずつ味わいは変わりますが、総じてチョコレートのようなアロマの香りと、花や柑橘系の強い酸味を持っているとされています。
酸味というとあまりいいイメージを持たない方もいらっしゃるかもしれませんが、モカ本来の酸味はレモンやライムのような柑橘系、シトラス系のさわやかな酸味であるため、程よいコクと甘味も感じることができます。
またその独特な味わいが「ブレンドコーヒー」を作るときには重宝され、よく「コロンビア」や「ベトナム」などのようなダークロースト(深入り)の豆などと合わせてブレンドされることもあります。